山手線内側:丸の内・本郷・上野・赤坂、住む場所をどう選ぶか
山手線が囲む 11 km × 7 km の内側は均一な「東京中心」ではない。丸の内・大手町(金融・官庁)¥200,000+、本郷・四谷(大学・病院)¥130,000-180,000、上野・浅草橋(下町)¥110,000-150,000、赤坂・六本木(大使館・IT)¥180,000-280,000。地下鉄、スーパー、夜間騒音、雨天動線がすべて異なる。
山手線が描く楕円は約 11 km × 7 km だが、その内側は均一な「東京中心」ではない。北側に本郷(大学・病院)、東側に上野・浅草(下町)、南側に品川(駅ハブ)、西側に新宿・渋谷(商業)、中央が丸の内・大手町(金融・官庁)と六本木・赤坂(外資・夜の街)に分かれる。この 5 つのエリアの体感差は、山手線外の郊外間の差より大きい。本記事では「住む場所をどう決めるか」を、通勤時間、月家賃、スーパーの種類、夜間騒音、雨天時の動線で分けて解説する。
1. 丸の内・大手町・日本橋:金融・官庁エリア
丸の内・大手町・日本橋は、三菱地所と三井不動産が保有するオフィスタワーが立ち並ぶ、東京で最も高い業務集積地。昼間人口は約 28 万人、夜 19 時以降は警備員と清掃員以外ほぼ無人になる。住居は少なく、大手町北端の神田・淡路町・岩本町方向に集中、1LDK で ¥200,000-300,000、礼金 1 ヶ月、敷金 1-2 ヶ月、保証会社初回費用 50% から。
通勤は最強:東京メトロ丸ノ内線・千代田線・半蔵門線・東西線が大手町で交差(5 路線・1 駅乗換)、JR 東京駅まで徒歩 5 分、新宿・品川・池袋・上野まですべて 15 分以内。地下通路で三井ビル・新丸ビル・KITTE が連結、雨の日は地下鉄出口からオフィスまで傘を開かずに到着できる。
生活コストは高い。周辺スーパーは成城石井(高単価・輸入品多め)が中心、安いまいばすけっとは神田駅東側に数店舗のみ。保育施設は手薄、大手町 KITTE 内の「こども園」に数枠ある程度。土曜開院の診療所は少なく、平日 7:30-9:00 の通勤ラッシュではエレベーターに乗れないことも多い。
出典:三菱地所:丸の内エリアマネジメント、千代田区:丸の内・大手町地区まちづくり。
2. 本郷・御茶ノ水・神田・飯田橋:大学・病院
山手線内側の北部、本郷から御茶ノ水・神田・飯田橋にかけては、東京大学、順天堂病院、東京医科歯科大学、明治大学、中央大学、上智大学が密集するエリア。1K-1LDK で ¥130,000-180,000、丸の内より 30-40% 安い。大学院生・医師・病院関係者・短期客員研究員はこの線を優先する。
病院が多くても外来受診が容易とは限らない。東大病院・順天堂・東京医科歯科は 特定機能病院 で、一般外来はほぼ 紹介状(近所の診療所で ¥3,300-5,500) が必要、初診で紹介状なしだと 選定療養費 ¥7,000-11,000 が加算(2022 年 10 月以降)。日常の発熱・皮膚・歯科は近所の「〇〇クリニック」へ。住居の 800 m 圏内に土曜開院のかかりつけ医があるかが、大病院まで 1 駅近いかより重要。
交通は密だが雨天動線は弱い:JR 中央線(御茶ノ水・神田・飯田橋)、メトロ丸ノ内線・千代田線・南北線・東西線・有楽町線・都営三田線が交差するが、駅間通路は地上経由が多く、神田駅から御茶ノ水駅まで傘で 8 分歩く。
出典:厚生労働省:選定療養費(紹介状なし受診時)、文京区:本郷・湯島地区まちづくり。
3. 上野・御徒町・浅草橋:下町の密度
山手線東北部、上野・御徒町・秋葉原・浅草橋は、江戸時代の「下町」が残るエリア。1K で ¥100,000-140,000、1LDK で ¥150,000-190,000、西半周より 20-30% 安い。強みは生活物価の低さ:上野アメ横、御徒町吉池、浅草橋の問屋街で、魚介・肉・野菜・文具が卸値で買える。OK ストア、業務スーパー、肉のハナマサ も出店、単身者の月食費は ¥25,000-35,000 で収まる(同じ食事を六本木で揃えると ¥45,000+)。
代償は観光客の人流。週末は上野公園・アメ横・浅草寺方向が混み合い、公園南側の入谷・稲荷町・田原町方向は比較的静か。秋葉原は IT・オタク文化エリアで、深夜の街声が絶えない。賃貸契約前に窓向きを確認:中央通り側の部屋は週末日中、客寄せ音声で起こされる。
通勤:JR 山手線・京浜東北線・上野東京ライン、メトロ銀座線・日比谷線、都営大江戸線、つくばエクスプレスが上野駅周辺に集中。浅草橋方向に住むと新宿まで秋葉原乗換約 30 分。
出典:台東区:観光統計、JR 東日本:上野駅情報。
4. 赤坂・六本木・麻布十番・青山:外資・ナイトライフ・大使館
山手線内側の南部、赤坂・六本木・麻布十番・青山は、外資系金融、コンサル、IT、メディア、120 か国以上の大使館、インターナショナルスクールが集積。1LDK は ¥180,000-280,000、3LDK ファミリー向けは ¥350,000-700,000。外資 IT の住宅手当 ¥150,000/月 が前提でも、六本木で 1LDK に独居するには自己負担 ¥30,000-130,000/月 が必要。
地下鉄路線は密:メトロ日比谷線(六本木)、千代田線(赤坂)、銀座線(青山一丁目・外苑前)、南北線(六本木一丁目)、半蔵門線(青山一丁目)、都営大江戸線(六本木・麻布十番・青山一丁目)。六本木から新宿 11 分、渋谷 8 分、品川 15 分、ただし東京駅へは 1 回乗換で 20 分。
夜間騒音は大きい:六本木交差点周辺、麻布十番「がま口横丁」、赤坂サカス周辺は深夜 3 時まで酒客とタクシーが行き交う。賃貸契約前に金曜深夜 1 時の現場を確認するべき。大通り側の 1LDK は一晩中眠れない可能性がある。住宅密集地の青山三丁目、広尾(山手線内側だが港区西端)は比較的静か。
スーパーはナショナル麻布、紀ノ国屋(青山)、PEACOCK が中心、輸入食品は豊富だがまいばすけっとの 2-3 倍の価格。日常の補給はドコモ・バイクシェア(¥165/30 分)で広尾の成城石井や外苑前のオダキュー OX まで。
5. 四谷・市ヶ谷・麹町:内側のミドル層
四谷・市ヶ谷・麹町は山手線内側の「中間地帯」、新宿と東京駅のちょうど中間に位置する。1LDK で ¥160,000-220,000、1K で ¥110,000-140,000。通勤 20 分以内に抑えたいが丸の内の家賃は払いたくない IT・コンサル・メディア勤務者に適する。
JR 中央・総武各停(市ヶ谷、四ツ谷、信濃町、千駄ヶ谷)、メトロ丸ノ内線(四谷三丁目、新宿御苑前)、南北線(市ヶ谷、四ツ谷)、有楽町線(市ヶ谷、麹町)、都営新宿線(市ヶ谷、曙橋)が使える。新宿 5 分、東京駅 7 分、渋谷 12 分。
生活面の見どころは 2 つ。新宿御苑(入園 ¥500)が徒歩圏内で、桜と紅葉を上野の混雑なしに楽しめる。上智大学、防衛省、靖国神社、外濠公園もこのエリアにあり、緑地と散策路は丸の内より豊富。スーパーは OK ストア 四谷三丁目店(山手線内側で稀な激安系)、ライフ 四谷店で、1LDK 単身の月食費は ¥35,000-45,000 で収まる。
出典:新宿区:四谷地区まちづくり、新宿御苑。
6. よくある落とし穴
「山手線内 = 中心 = 全部高い」と一括りで予算を決める。実際の家賃差は 2-3 倍:丸の内 1LDK ¥280,000、同じ広さが浅草橋なら ¥150,000。具体的な街区単位で判断する。
会社からの近さだけで決め、夜間騒音を確認しない。六本木交差点、新宿歌舞伎町、上野アメ横周辺は深夜まで騒がしい。契約前に平日の深夜 1 時に実地を歩き、窓向き(大通り vs 路地裏)を必ず確認。
大学病院を気軽に使えると思う。紹介状なしの初診で ¥7,000-11,000 の選定療養費(2022 年 10 月以降)。通常の発熱・風邪・皮膚は住居 800 m 圏内の小診療所が正解。物件選定時に Google Maps で土曜開院のかかりつけ医を確認する。
「スーパーが便利」を「安いスーパーが便利」と同一視する。成城石井、紀ノ国屋、ナショナル麻布の単価は OK ストア、まいばすけっと、業務スーパーの 2-3 倍。山手線内側で安いスーパーは上野・神田・四谷・本郷以外ほぼ皆無。月食費予算は ¥45,000-60,000 を確保するのが安全。
赤坂・六本木の住宅手当を過大評価する。外資 IT/コンサルの住宅手当 ¥150,000/月 に対し、六本木 1LDK 現行 ¥220,000-280,000、自己負担 ¥70,000-130,000/月。オファー検討時は手当差額を計算してから「会社の隣に住む」誘惑を判断する。
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